キッチンの高さ、何cmが正解?「身長」だけでは決められないキッチンカウンターの高さ
キッチンをプランニングするとき、
「キッチンの高さは何cmがいいですか?」
というご質問をいただくことがあります。
キッチンの高さを決めるとき、よく言われるのが、
「身長÷2+5cm」
という計算方法です。
例えば、身長160cmの方であれば、
160÷2+5=85cm
という計算になります。
ひとつの目安として、とても分かりやすい方法ですよね。
でも、実際にキッチンを設計していると、身長だけでキッチンの高さを決めてしまっていいのかな?と思うことがあります。
なぜなら、キッチンでは「何をするか」によって、使いやすい高さが変わってくるからです。
私のキッチンは、身長162cmで88cm
ちなみに、私自身は身長162cmです。
「身長÷2+5cm」の計算で考えると、
162÷2+5=86cm。
ところが、我が家のキッチンカウンターは88cmにしています。
一般的な計算方法より2cmほど高い設定です。
実際に今まで使ってきて、特に高さが高すぎると感じることもなく、むしろ自分にとって使いやすい高さだと感じています。
では、なぜ88cmがちょうど良かったのでしょうか。
最近、キッチンスペシャリストのハンドブックを改めておさらいしてみました。
すると、身長ではなく、「肘の高さ」を起点に、作業内容によって適した高さを考えるという項目がありました。

実は「何をするか」で適した高さが違う
ハンドブックでは、作業別に次のような考え方が紹介されています。
① 餃子の皮を包む、豆の皮をむくなどの作業
手元で細かな作業をする場合は、
肘の高さから約5cm低い高さ
がひとつの目安になります。
② まな板で野菜を切る作業
野菜を切るなど、まな板を使った作業では、
肘の高さから10~15cm低い高さ
が目安とされています。
私の場合、肘の高さを測ってみると約100cmでした。
そうすると、
細かな手元の作業なら
100-5=95cm
まな板で野菜を切るなら
100-10~15=90~85cm
となります。
こうして考えてみると、私が実際に使っている88cmという高さは、かなり自分の使い方に合った高さだったのかもしれないと感じています。
もちろん、これはあくまでも私の場合です。
体格や姿勢、よくする料理、使う道具などによっても変わってきます。
でも、キッチンは高ければいいわけでもありません
ここがキッチンの高さを考えるときに難しいところです。
例えば、まな板で野菜を切る作業や細かな作業では、ある程度高さがあった方が腰への負担が少なく、ラクに感じます。
一方で、
力を入れて作業する場合は、カウンターが低い方が力を入れやすい
ということがあります。
また、炒め物などコンロの前で行う作業も、カウンターが高すぎると使いにくいと感じる方もいらっしゃいます。
我が家の場合、力のいる作業をするときは、キッチンではなくダイニングテーブルを使うこともあります。
「キッチンの高さを全部の作業に合わせる」のではなく、どんな作業をどこでするのかまで考えてみることも大切だと思います。
コンロだけ低くする方法もあります
実は、キッチンのカウンターは、シンク側とコンロ側で高さを変えることもできます。
例えば、
シンク側は少し高めにして、コンロ側を低くする。

という方法です。
コンロ部分だけを低くすることで、炒め物や鍋を使うときに調理しやすい高さにすることができます。
これまでにも、このような施工をたくさんしてきました。
我が家ではそこまで考えていなかったので、コンロ部分だけ高さを変えることはしませんでしたが、実際に施工したお客様を見ると、
「なるほど、この高さは確かに調理しやすそう。」
と感じます。
キッチンを新しく計画するのであれば、こうした方法も選択肢のひとつです。
最近は「ご主人の身長」に合わせることも増えました
以前は、
「キッチンは主にお母さんが使う場所」
という考え方が一般的だったように思います。
そのため、キッチンの高さも奥様の身長を基準に考えるケースが多くありました。
ところが最近は、少し事情が変わってきました。
ご主人も奥様と同じくらいの時間キッチンに立つご家庭が増えています。
ご夫婦で料理をする。
ご主人が休日に料理をする。
お子さんと一緒に料理をする。
そんなご家庭も珍しくありません。
その場合は、ご夫婦の身長やキッチンに立つ時間などをお聞きしながら、どちらの高さを基準にするのが一番使いやすいのかを考えていきます。
91cmから95cmへ。高めのキッチンを選ぶ方も増えています
これまで私が施工してきたキッチンでは、91cmが最高高さでした。
ところが最近は、それ以上の高さをご希望されるご家庭も増えてきました。
もちろん、すべての方に高いカウンターをおすすめするわけではありません。
その方の身長や使い方、ご家族構成、どのような料理をされるのかなどによって、適した高さは変わります。
だからこそ、
「身長○cmだから○cm」
と数字だけで決めるのではなく、
そのキッチンで誰が、どのように料理をするのか
を考えて決めることが大切なのだと思います。
キッチンは、もう「お母さん一人の場所」ではありません
私がキッチンの高さを考えるとき、最近特に感じていることがあります。
それは、
キッチンは、もうお母さん一人のための場所ではなくなってきている
ということです。
ご夫婦で料理をする。
お子さんと一緒に料理をする。
家族がそれぞれのタイミングでキッチンを使う。
そう考えると、キッチンの高さも「一番身長の低い人に合わせる」というだけではなく、家族みんながどのように使うのかを考える必要があります。
キッチンは一度つくると、毎日何度も使う場所です。
だからこそ、ほんの数cmの違いでも、使い続けるうちに「使いやすい」「ちょっと使いにくい」という差になってくるのだと思います。
まとめ|キッチンの高さは「身長」だけで決めない
キッチンの高さを決めるとき、
「身長÷2+5cm」
は、分かりやすいひとつの目安です。
でも、それだけで決める必要はありません。
- 誰がキッチンを使うのか
- どんな料理をするのか
- どんな作業が多いのか
- まな板をどのくらい使うのか
- 力のいる作業をどこでするのか
- ご夫婦で一緒に料理をするのか
- シンクとコンロで高さを変えるのか
こうしたことを一つずつ考えていくことで、そのご家庭に合った高さが見えてきます。
私自身も、身長162cmで88cmのキッチンを使っていますが、実際に暮らしてみると「この高さにして良かった」と感じています。
だからこそ、これからキッチンを計画される方には、数字だけではなく、実際にキッチンに立って、包丁を使ったり、まな板の高さを確認したりしながら、自分にとってのちょうどいい高さを探していただきたいと思っています。
キッチンショールームでは、実際の高さに立って体感することもできます。
「88cmと90cmではどのくらい違うの?」
そんな小さな疑問でも大丈夫です。
毎日使うキッチンだからこそ、数cmの違いまで一緒に考えてみませんか?
