ギャラリーの家具、どうつくる?「作品が主役」になる家具を考えています

少しずつ進んでいるギャラリー空間の工事。

前回のブログでは、もともと和室だったお部屋に壁ができ、そこに装飾を施していく様子をご紹介しました。

前回の記事「ギャラリー空間の工事の続き」はこちら

壁ができてくると、空間の雰囲気が少しずつ見えてきます。

そして、次に考えなければならないのが家具です。

今回のギャラリーでは家具が占める面積も大きいため、家具のデザインによってお部屋全体の印象が大きく変わります。

さて、どんな家具にしましょう。

お施主様のご希望から生まれた「アールの壁」

今回、お施主様からいただいたご希望のひとつが、

「壁にアールの装飾をつけたい」

というものでした。

そこで壁の一部をアール型にし、その形に沿うようにモール材を施しました。

イメージに合うモール材を探し、実際の壁に取り付け、最後に仕上げの色を塗っていきます。

こうして少しずつ形になってくると、

「ここに作品が入ったら、どんなふうに見えるだろう」

「家具はどんなデザインが似合うだろう」

と、こちらもどんどんイメージが膨らみます。

このアールの壁が加わったことで、何もなかった空間に、この部屋ならではの雰囲気がぐっと出てきました。

アールの装飾を施した壁

アールの壁には、作品を飾るOPEN棚を

この壁には、OPENの棚を設け、作品を展示する予定です。
中央には、アンティークの家具を設置します。

そして棚の色は、奥様のお好みのブルー系に。

色が決まると、一気に完成した姿が想像できるようになって、気分も盛り上がります。

ギャラリーだからといって、すべてを美術館のようにする必要はありません。

「この色が好き」

「こんな雰囲気の部屋にしたい」

そんな、その人ならではの「好き」を入れることも、毎日を過ごす住まいでは大切だと思います。

反対側には、大きな収納家具を

そして今、頭を悩ませているのが反対側の壁です。

こちらには、壁一面を使った大きな収納家具を予定しています。

収納量だけを考えれば、比較的シンプルです。

必要なものが入るように、棚や扉を計画すればいい。

でも今回は、それだけではありません。

反対側には、すでに特徴的なアールの壁があります。

そこに一般的な四角い収納家具をそのまま置いてしまうと、せっかくつくった空間の雰囲気が途切れてしまうかもしれません。

アールの壁とのつながりをどうつくるか。

収納量を確保しながら、どんな形、どんなラインの家具にすれば、この空間になじむのか。

現在、試行錯誤しながら設計を進めています。

家具を考えるとき、まず「何を主役にするか」

そして今回、家具を考えるうえで一番大切にしていることがあります。

それは、

この部屋の主役は、家具ではない。

ということです。

主役は、これまで大切に集めてこられた、たくさんの作品たち。

絵や陶器、骨董品など、長い間箱の中で眠っていた作品を、これからこの場所に飾ります。

家具のデザインを考えていると、ついつい、

「もっと装飾を入れようか」

「ここも特徴をつけようか」

と考えたくなります。

でも、家具が目立ちすぎてしまえば、肝心の作品が負けてしまいます。

だから今回は、

空間としての雰囲気はつくる。
でも、作品の邪魔はしない。

このバランスをとても大切にしています。

「好きなデザインを全部入れる」が正解とは限らない

これは、ギャラリーだけでなく、キッチンや住まいを考えるときにも同じことが言えると思います。

好きな色。

好きな素材。

好きな家具。

好きな照明。

一つひとつは素敵でも、全部を主役にすると、かえってまとまりにくくなることがあります。

そんなときは、

「この空間で、一番大切にしたいものは何だろう?」

と一度考えてみる。

お気に入りの家具を主役にしたいのか。

窓から見える庭を大切にしたいのか。

好きな絵を飾りたいのか。

家族が集まることを一番にしたいのか。

主役が決まると、色や家具、照明など、周りのものを決めやすくなります。

今回のギャラリーの場合は、答えがはっきりしています。

主役は作品です。

東京庭園美術館のような雰囲気も取り入れながら

そしてもう一つ、お施主様から伺っているのが、東京都庭園美術館を思わせるような雰囲気です。

そのイメージも大切にしながら、床、壁の装飾、家具をどうつないでいくか。

一方で、ここは美術館ではなく、あくまでもご家族が暮らす住まいの中のギャラリーです。

お庭を眺めたり、お孫さんたちが作品を見たり、ご家族で作品について話したり。

そんな日常の時間も過ごす場所です。

「美術館のようにする」のではなく、その雰囲気を取り入れながら、この家らしいギャラリーにする。

そこを大切にしたいと思っています。

家具は「家具だけ」で考えない

今回の家具を考えていて、改めて感じることがあります。

家具は、家具だけを見てデザインするものではないということです。

壁との関係。

床との関係。

窓から見える庭との関係。

そこに置かれる作品との関係。

そして、その部屋で人がどう過ごすのか。

それらを一緒に考えて、ようやく家具の形が見えてきます。

今回もなかなかの難題です(笑)。

でも、難しいからこそ面白い。

アールの壁ができ、モールが入り、色が入り、そして家具が加わる。

少しずつですが、最初に思い描いていたギャラリーの姿が見えてきました。

家具の製作も進んでいます。

次は、いよいよ家具がこの空間に入るところをご紹介できるでしょうか。

何もなかった和室が、どんなギャラリーになっていくのか。

引き続き、完成までの様子をご紹介していきたいと思います。