時間とともに美しくなるキッチン

本物の木を薄くスライスして仕上げる「突板」という素材があります。
完成直後の整った表情も魅力ですが、その本質はむしろ年月を重ねた先にあります。

光を受けて色味が落ち着き、手の触れる場所には自然な艶が生まれる。
革製品や万年筆のように、使う人の時間が刻まれていく素材です。

家族の会話が生まれ、日常の中心となるキッチンだからこそ、その変化はより豊かなものになります。
今回は、そんな時間とともに育つオリジナルキッチンの施工事例をご紹介します。

空間の中で主張しないという設計

今回キッチン扉に選ばれたのは欅でした。
LDK空間にはすでに欅が使われており、その流れを途切れさせないことが設計の出発点となりました。
キッチン単体を目立たせるのではなく、空間の一部として自然に存在すること。
素材を揃えることで視線の連続性が生まれ、空間全体に静かな統一感が生まれます。
カウンターにはステンレスのバイブレーション仕上げを採用しました。
木の温もりの中にわずかな緊張感を与え、コンクリートの床材とも穏やかに調和します。
異なる素材が競い合うのではなく、それぞれが背景として機能することで、暮らしが主役になる空間が完成しました。

「選ぶ」のではなく、「考える」時間

ハートハウスのオリジナルキッチンには既製の完成サンプルがありません。
一邸ごとに設計し、製作するからです。
今回も実際にサンプルを製作し、色味や木目の印象、板目と柾目の違いまで確認していただきます。
自然素材は、同じ樹種であっても採れる場所や時期によって表情が変わります。
まったく同じものは存在しません。
だからこそ私たちは、「選ぶ」というよりも「向き合う時間」を大切にしています。
少し遠回りのように感じるかもしれません。
ですが、
その時間こそが住まいへの理解を深め、完成したあとも長く愛着を持ち続けられる理由になると考えています。


使い方から生まれるデザイン

把手の仕様も自由に設計します。
手を掛けやすい形状を選ぶ場所。あえて何も設けない面。

収納の開け方や動線を想像しながら、細かな部分まで対話を重ねて決めていきます。
既製キッチンでは、完成された形の中から選択していきます。

一方でフルオーダーキッチンは、素材、形状、レイアウト、収納計画。
すべてを暮らし方から考え直します。決めることは決して少なくありません。
けれど、
その積み重ねがあるからこそ、完成したときには「つくった」という実感が残ります。
キッチンが納まった瞬間、そこから始まる暮らしの物語はすでに動き出しているように感じます。

真鍮のタオルバーはキッチン把手とお揃い。コンセント色も合わせて。

経年変化という豊かさ

住まいやキッチンは、完成した瞬間から変化が始まります。
それを劣化と感じるか。
それとも味わいとして受け入れるか。

本物の素材は、時間を味方にします。

小さな傷も、色の変化も、家族の記憶として積み重なっていく。
10年後、20年後にふと振り返ったとき、そこにあるのは新品の美しさではなく、暮らしてきた証としての美しさなのだと思います。
私たちは、そんな住まいづくりを大切にしています。

新ショールームのご案内

ハートハウスでは、オリジナルキッチンをご覧いただけるショールームをご用意しております。
(※ハートハウス金沢店舗とはまた別の住所となります)
素材の質感や空間の在り方は、写真だけでは伝わらない部分もあります。

完全予約制となりますが、どうぞお気軽にお問い合わせください。
ゆっくりとお話ししながら、理想の住まいについて考える時間をご一緒できれば幸いです。

こちらの施工事例の詳細はこちらです。